デッドリフトはスクワットやベンチプレスのような審判のコール(スクワットまたはスタート)がありません。
バーイズローデッドがかかり1分間の持ち時間を与えられますと完全に自身の好きなタイミングで引き始めることが出来ます。
そのため、選手によっては引くまでの演出が長いのもデッドリフトの特徴です。
引き切りますと審判は「ダウン」のコールをかけます。
このダウンのコールをしっかりと聞いてからバーベルをコントロールしながら地面に置いて下さい。
コールの前に降ろしたり、コールを聞いてから手を放して落下させる、バランスを崩しながらバーベルを地面に置いてしまうと失敗となります。
デッドリフトで失敗した時のナンバーカードについて
1番(赤)肩の返り、膝の曲がり
1番はフィニッシュ付近の失敗です。
具体的には、
・肩がかえっていない
・膝が曲がっている
というフィニッシュの姿勢として求められている基準を満たしていない時に判定されます。
肩のかえりについて
デッドリフトの試技の映像を見たことがある方はご存知ですが、デッドリフトのフィニッシュは若干後に反っています。
ルール上は直立姿勢がフィニッシュとされます。
ちょうどアイキャッチ画像の選手のデッドリフト画像が直立姿勢のお手本です。
背中は反るべきか反らないべきか?
結論から言いますと、若干反った方が良いです。(お手本画像には反しますが)
デッドリフトは身体の中心よりも重量物(バーベル)が前方にあります。
直立姿勢ですと重量物だけが前方にあることになります。これでは不安定でダウンのコールが遅い審判に当たりますとバランスを崩して倒れてしまうことがあります。
ほんの少しだけ身体を後ろ反らせることによってこの前方にある重量物と拮抗しやすくなります。
ポイントはほんの少しだけです。
反りすぎるとどうなるか?
膝が曲がりやすくなります。
ちゃんとフィニッシュをしたのに何で赤がついているんだと思われたことが無いでしょうか?
膝が曲がっているからです。
デッドリフトのフィニッシュは引ききって少しだけ後方に反る。これがポイントです。
2番(青)挙上中の失敗 下がり、あおり、大腿部に乗せながら挙げるについて
デッドリフトの2番の失敗は挙上中の原因による失敗です。
バーベルのさがり
スクワット、ベンチプレスと同様、挙上中にバーがいったん下がってしまうと失敗です。
バーベルをあおって挙げる
これは厳密にはバーベルのさがりと同じです。あおる瞬間に若干、バーベルが下がってしまいます。
あおって挙げる方はデッドリフトをファーストプル+セカンドプルの意識で挙げられています。
これは完全に間違いでデッドリフトは一挙動の意識で引かないとあおり挙げになり、成功試技になる確率が低くなります。
バーベルを大腿部に乗せながら挙げる
バーベルを大腿部に乗せて大腿部を壁のように使いながら挙げると失敗です。
重い重量になって粘って挙げるのと大腿部を利用して挙げる方法は見た目が全く異なります。
バーベルが下がっていないのに2番(青)が判定された場合は要注意です。
フォームを根本的に見直す必要があります。
3番(黄)その他の失敗について
3番はスクワット、ベンチプレスと同様、1番と2番以外の全ての失敗理由となります。
具体的には
・足の位置が挙上中にずれてしまう
・ダウンのコール無視
・ダウンを聞いてからバーベルをコントロールせずに落とす
が挙げられます。
足の位置がずれることはよほど悪いプラットフォーム出ない限り発生しません。
3番はほとんどコール無視か、バランスを崩して倒れてしまったか、全く引けない失敗試技のいずれかになります。
デッドリフトの判定がバラつく理由
デッドリフトも主審と副審の位置によって見え方が変わるために判定がバラつく事があります。
しかしながら、それ以上に審判がデッドリフトの競技を行ったことがあるか否か、デッドリフトをトレーニングのルーティーンに取り入れているかどうかで大きく判定が変わります。
審判がデッドリフトをやったことがない
パワーリフティングの特徴なのですが、選手が役員を兼ねる事が出来ます。審判もセッションが変われば選手として出場しています。
そして、選手には三種目を行うパワーリフターとベンチプレスだけを行うベンチプレッサーいます。
しっかりとデッドリフトの練習を行っているパワーリフター出身の審判であればどこでごまかしたか一目瞭然です。そのため、判定は厳しくなる傾向です。
反対に、ベンチプレッサー出身の審判ではそのあたりの塩梅が分からないため甘い判定になる傾向があります。(日本の審判は明確な失敗理由の分からない試技には白と判定することとなっているためです。)
三種目全般 審判の判定のバラつきについて
長くパワーリフティング競技をしていれば判定に救われることもあれば判定に泣くこともあります。
それらは相殺するのですが、どうしても人間は泣いた時の不公平感だけを覚えているものです。
実際には救われていることもあるのを忘れてはいけません。
残念ながら、ネット上で判定について異議を述べられている方には審判未経験者もいらっしゃいます。
異議については見え方の違いについて考慮されていません。
責任を持たず引いた箇所からの見え方と責任を持って現場に座っての見え方は全く異なります。
これは実際に審判をやっていただければ分かります。それでもけしからん判定が多いと感じられる有志の方は是非大阪府パワーリフティング協会までお問い合わせ下さい。
審判資格取得講習会への参加スケジュールを組みます。
アップロードされた動画は判定において全く参考になりません
ある視点から撮った動画の見え方と別の視点は見え方が異なります。
もっと悪いことに、動画は画質によってかなりコマ落ちします。
実際の現場では人間の目より高度な動画機材(ハイスピードカメラ等)で審判と同じ視点(位置と方向どちらも)から撮影されている方はいらっしゃいません。
従って、ネット上にアップロードされた動画を基準に判定について議論するのはナンセンスです。
一度実践されてください
以上をもちましてパワーリフティング三種目の判定についての説明を終わります。
選手、審判を問わずまずは実践してみて下さい。実践してみると今までとは異なった視点で競技を見ることが出来ます。
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